Drainer 〜吸収者〜
「衛星軌道上に突如現れました」
「パターン青、MAGIは使徒と示しています」
死海文書による第15の使徒の出現。
「遅いわよ、ミサト」
遅れてNERV最高の作戦司令官の登場。
「言い訳はしないわ。状況報告よろしく」
「はい。目標は衛星軌道上約2万Kmの地点に出現しました」
「こことの相対距離を保ったまま、依然動きを示しません」
鳥のような形をし、発光現象を伴っている使徒。
大きさから言えば以前襲来したサハクイエルクラスか。
「パイロットは?」
「全員すでに搭乗済みです・・・が・・・」
「えぇ分かってるわ・・・初号機は現状維持・・・私の権限じゃあ凍結は解除できないわ。碇司令の許可が無いとね」
前回の戦い、即ち第14使徒ゼルエル戦において初号機はS2機関を取得。
ゲンドウがその事実を知った人類補完委員会に対する処置としての凍結命令。
が、あくまでNERV総司令からの命令なのでいつでも解除は可能、と言った具合だ。
「・・・オフェンス零号機、バックアップは弐号機。レイ、アスカ、良いわね?」
「・・・了解」
「・・・冗談じゃないわ。このアタシがバックアップなんて・・・」
「今のあなたのシンクロ率じゃ今回の作戦は無理よ。バックアップに努めて」
怪訝な表情をかいま見せた後、飛鳥は思いきった行動に出る。
「イヤよ。弐号機、発進します!」
「ちょ、ちょっと!アスカ!」
「・・・良いわ、やらせましょう」
「!良いんですか?葛城さん・・・」
「えぇ。でもこれで・・・ダメなら・・・」
「パイロットの交換も止むなしか・・・」
その言葉と共に、リツコがマヤに耳打ちする。
「・・・弐号機のコア、変換を考えておいて」
「・・・分かりました・・・」
リツコからの言葉にイヤそうな顔をしたのを見る者はいなかった。
彼女が”潔癖性”と言われるが故・・・
バイザーを降ろし、敵生体に狙いを定めるアスカ。
しかし、未だトリガーは引けない。
「もう・・・じれったいわね!早く寄ってきなさいよっ!」
愚痴っても敵生体にそれは伝わらない。
結果、アスカのいらいらが募るだけである。
睨み合いは膠着になろうとしているとき、急な使徒からの行動が発生した。
突如降り注がれる使徒からの可視光線。
虹色に輝くそれはまるで弐号機を照らすスポットライトのように感じられた。
『きゃぁぁぁぁっっ!!』
「アスカっ!」
スポットライトではなく、弐号機=アスカの精神を探るためのATフィールドを応用した可視光線。
「使徒からの精神兵器です!」
「LCLは?!」
「触媒の効果がありません!」
「まさか・・・使徒はヒトの・・・アスカの心を探ろうとしているの?」
奇しくもそれは正解である。
「いやぁっ!アタシの心を覗かないでっ!」
「アタシの心に入ってこないでっ!」
「アタシの心を犯さないでっ!」
そしてアスカの心の中が暴かれていく・・・
ベッドの傍らに置いてある・・・基、捨ててある人形。
人形の背からは綿が飛び出し、見るも無惨な姿となっていた。
「はぁっ・・・んっ・・・・」
人形が捨てられているベッドの上では、二つの人影がうごめいていた。
シンジがアスカを、ではなく、アスカがシンジを、である。
「もう何度目になるかしらね・・・はぁっ・・・シンジ・・・」
彼女の下腹部はいつもより少し脹らみを増していた。
「このままの状態で・・・あんっんっ・・・朝から・・・んっ・・・だからね・・・」
一方のシンジはというと、アスカの執拗な攻めのためか、憔悴しきっていた。
「ほらぁ・・・さっさと寄越しなさいよぉ・・・」
「アスカは?!」
「ダメです!このままでは精神崩壊が・・・」
「仕方ないわね。アスカ、下がって!」
『イヤよ!』
「いいから下がりなさい!これは命令よ!」
すでに聞く耳を持たないのか、苦しいながらもアスカは使徒に対して狙いを定める。
「くっ!」
しかし。
「初弾は使徒に命中しましたがATフィールドに阻まれました!」
次々とトリガーを引く弐号機。
しかし初めの一撃以外は全て使徒に命中せず、逆に自分の街である第三新東京市を傷つけていた。
「くっそぉぉぉっ!」
『ねぇシンジ、次はどれに乗ろうか』
『いいよ、アスカの好きなので』
『じゃぁね・・・あれにしよ!』
『・・・またぁ?勘弁してよぉ・・さっきも乗ったじゃないか、ジェットコースター』
『いいじゃないの。アレが一番面白いんだからさ』
楽しそうなカップルの傍らで、プラグスーツ姿のまま佇むアスカ。
「何・・・これ・・・」
『あ、アレ可愛い。ね、取ってよシンジ』
『アレなら家の近くのゲーセンにもあるじゃないかぁ』
『いいじゃないの。ねぇ、取ってよ!』
『分かったよ・・・仕方ないなぁ・・』
『アリガト、シンジ!』
「アタシじゃない・・・アタシじゃないわよ!こんなの!」
『ねぇシンジ・・・』
『何?アスカ』
『アンタ・・・誰か好きな人でもいる?』
『な・・・なん・・・何でそんなことを・・・・』
『聞きたいの。ねぇ、どうなの?』
『この状況が答えじゃ・・・ダメかな』
『ダメよ。アタシはアンタの口から聞きたいの』
『・・・分かったよ。僕は・・・アスカ・・・君のことが・・・・』
夕闇に二人の姿がシルエットとして浮かび上がる。
その二つのシルエットはいつしか一つとなり、太陽と共に消えていく。
「イヤぁぁっっ!!こんなのアタシじゃないっ!アタシじゃないわよぉっ!」
頭を抱え、自らが見ているものを否定するアスカ。
『でもこれはアンタが望んでいる姿』
『アスカが僕に対して望んでいること』
「違う!違うわよっ!アタシにとってシンジは単なるモノよ!それ以上でもそれ以下でもないわ!」
『でも本当は僕とこうしていたんだよね』
『本当はこうしたいのよね』
『でもアスカはそれを否定する』
「違う違うっ!」
耳を塞ぎ、目を閉じることによって目に見えるモノ、耳に聞こえるモノを全て否定しようとするアスカ。
しかし使徒の精神攻撃はその程度の防御では防ぎようがない。
当然、アスカの脳裏に現れてくる。
『いい加減認めなよ、アスカ』
『そうよ。認めちゃいなさいよ』
『純粋に僕のことが好きだって認めてしまえばいいのに』
『そうすればアタシは救われるはず』
「救われたくなんか無いわよっ!よりによってシンジなんかにっ!」
雨降りしきる中、青き零号機がポジトロン・スナイパー・ライフルを抱え、使徒を狙っている。
先の戦いの後、作成した物を改良したライフル。
エネルギーの充填を待って、それは発射された。
しかしエネルギーの軌跡は一つのまま消滅せず、使徒の眼前で数本に別れてしまう。
即ち使徒のATフィールドに阻まれ、失敗という結果となる。
「ダメです!使徒のATフィールドを破るにはエネルギーがまるで足りません!」
「ダメか・・・なら・・・零号機を空輸して・・・ダメね。狙い撃ちされたらそこで終わりだわ」
普段は口をいっさい出さない上側から急にミサトに対し、声がかかる。
「零号機をドグマに降ろし、槍を使え」
「ロンギヌスの槍をか?!」
「衛星軌道上の使徒を殲滅するには他に方法がない」
「しかし零号機とアダムとの接触はサードインパクトを引き起こすおそれが・・・」
「かまわん。やりたまえ」
ミサトは俯き、自分が違った情報をつかまされていたことに対して自分に腹を立てる。
「嘘・・・。欺瞞なのね。そう、エヴァとアダムの接触ではサード・インパクトは起きないと言うのね。
それならセカンド・インパクトの原因は何?」
それを知るのはまだ少しばかり後のこととなる。
今はまだ、原因を知らずただ闇雲に復讐を遂げるのみ。
エヴァ零号機がメインシャフトを降下していく。
降下していった先には白き巨人、今はまだアダムと称されているそれに近づき、
胸に刺されていた槍を引き抜く。
発令所の人々は槍が引き抜かれたことによる変化にはあまり気を向けず、
それよりも槍を持った零号機に気を集中させていた。
当然、その間にもアスカに対して精神攻撃は続いている。
『えーん、えーん・・・・』
縫いぐるみを両手で抱え、泣いている少女が一人。
「泣かないって決めたのに・・・」
それを見守るアスカ。
彼女が見守っているのは、幼少期の自分自身に他ならない。
「何でアタシ、泣いているんだろう・・・」
「零号機、投擲体制に入ります」
槍投げの選手宜しく、ロンギヌスの槍を投げつける体制に入る零号機。
「・・・3,2,1,0」
発令所からのカウントダウンと同時に、零号機は槍を使徒めがけて投げつける。
槍は途中、二股から一本の串形状に変化を成し、使徒へと向かっていく。
一瞬、槍はATフィールドに阻まれるが、それを突き破り、使徒のコアを直撃した。
第拾五使徒アラエルの最後である。
「槍は?」
「はい。ロンギヌスの槍は第一宇宙速度を突破。その後月軌道上を漂っています」
「回収は・・・」
「無理だな」
「委員会へはどう報告する?」
「事実を報告するまでだ」
「碇・・・」
地下ジオ・フロントエヴァケイジへと収容されていくエヴァ弐号機。
その光景を地上ビル屋上で見ているアスカとシンジ。
「良かったね・・・アスカ」
「何が?」
「その・・・無事で・・・」
「そう・・・そうね」
「うん・・・」
「シンジ・・・こっちに来なさい」
「え?・・・何?」
「決まっているでしょう?今からシンクロ率をもらうのよ。今日の戦闘で減っちゃったから」
「そ、そんな・・・」
「さっさと寄越しなさいよ」
唐突に唇を奪うアスカ。
そしてその口からシンジの唾液を取り始める。
周りのことなど気にしちゃいない・・・と言うところだが、
現在後始末に追われNERVの職員は自分の仕事で手一杯。
即ちこの二人を監視している暇など無いのだ。
そこを狙ってか否か、二人は絡み始める。
「ぷはっ・・・あ、アスカ・・・」
「さっさと出す物だしなさい・・・・」
プラグスーツの股間部だけ切り取られ、その部位だけを露わにするシンジ。
今までの経験からか、それはすでに堅くなっていた。
「あら、準備いいじゃない。じゃ、いつも通りもらうわよ」
シンジのモノをくわえ、上下にさする。
抵抗しようと思えば出来るはずなのに、シンジはそれをしようとしない。
その間にもアスカは自分の手で握り、その熱さを感じながら舌で先端を舐める。
こういった快感から逃げることが出来ない、これが今のシンジの状態である。
「まずは口から・・・」
手の動き、口の動きを早める。
そうすることにより、堅さ、熱共に上昇していき、終わりが近くなる。
そして。
「うっ・・・」
「んっ・・・んん・・・・」
ごくりとアスカの咽が鳴る。
シンジから出されたモノを全て自分の体内に納めている音。
シンジの方は急激に力が抜けてゆき、残っている余韻に浸っている。
「とりあえず、一回目ね・・・シンジ、少なくとも後三回はもらうわよ・・・」
「5回・・・・と。あらシンジ・・・何そんな目で見てるのよ・・・」
「アスカ・・・こんな風にやるのはもう止めようよ・・・シンクロ率だったらいくらでもアスカにあげるから・・・」
「・・・」
「僕はアスカと普通に過ごしたいだけなのに・・・エヴァなんて関係ないのに・・・」
「エヴァが・・・エヴァが関係ないですってっ?!」
哀れむような目つきでアスカを見るシンジ。
それに反してアスカはシンジの言葉に激昂する。
「アタシにとってエヴァは全てよっ!アタシは一番じゃなくちゃいけないのよっ!」
「アスカ・・・」
「一番じゃなくちゃ・・・一番じゃなくちゃいけないのよ・・・」
涙がこぼれ落ちる。
しかしその涙はアスカの顔に付いたシンジの白濁液と混ざり合い、異様な雰囲気を醸し出す。
「アスカ。僕にとってアスカが一番じゃ・・・ダメなのか?」
「・・・アタシにとってはエヴァで一番じゃなきゃ・・・ダメなのよ」
「分かったよアスカ。でも僕はアスカを一番と思う・・・これが証拠だよ」
シンジは自身の口をアスカの胸の突起に合わせる。
既に堅くなっているそれはシンジの口にぴったりと合わさり、シンジの舌により湿り気を帯びる。
「あふぁ・・・」
無気力なアスカはシンジのそれを全て受け止めていた。
次第にシンジの両の手はアスカの胸と、股間へと延びていく。
「あふふぁ(アスカ)・・・」
「あはぁ・・・ふぁ・・・・」
今まで感じたことのない心地よさに、アスカは声を上げ始める。
「アスカ・・・もういってもイイかな・・・・」
「・・・・」
既にアスカは思考をしていないように感じられた。
それを読みとると、シンジはアスカを横たえ、自身のモノをアスカの股間にあてがう。
「いくよ・・・」
そして一気にアスカの中へと入っていく。
入る間際、アスカの意識が一時戻るが、すぐに意識は自身の快楽のみへと注がれ始めてしまう。
「はぁはぁはぁ・・アスカ・・・・アスカぁ・・・・」
シンジの方も今まで感じ得なかった快楽におぼれ始めている。
「アスカぁ・・・アスカぁっ!」
アスカの中へ。
全てをアスカに捧げるつもりで、シンジはアスカの中で果てる。
「・・・・アスカ・・・」
そう一言呟くと、シンジはアスカに重なるようにもたれ掛かった。
一見するに二人の表情は至福の時を終えたように見受けられる。
「ゴメン・・・シンジ・・・どうにかしていた・・・のかな、アタシ」
「アスカが一番であり続けたい気持ちは僕にもよく分かるよ。でも・・・実際それだけじゃあダメなんだ」
「そうよね・・・一つのモノだけに偏るって言うのがどれだけいけないことか・・・それをアンタは教えてくれた」
「それが分かったのなら今はもう大丈夫だよね」
「うん・・・ゴメン・・・ね」
シンクロ率は深層意識に左右される。
そう言ったのは誰だったか。
あのときを境にアスカとシンジのシンクロ率は共に同数字を刻むようになる。
いつか行ったユニゾン、そして重なる二人。
それらが相互作用して現在の結果になったのだろう。
「大丈夫。アスカは一番だよ・・・」
「えぇ・・・」
後書き
続きって事です。
ちなみにTV準拠ですが、ほとんど私の記憶からのモノですので会話当たりが微妙に
違ってきているかもしれません。
あと、この関係のモノはもう勘弁・・・ですのでその辺ご理解を。
何かありましたらY-MICKまで。
では。
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