ジャンル:構成無茶苦茶妄想意味無し小説

つよいぞ!シンジ君!!




ある日の出来事、いつものシンクロテスト、そしてそれは起きた……………

「初号機(いつものように)暴走しました!!!
シンクロ率上昇、120、180、240、290、300突破!!」

伊吹マヤの悲鳴がその場に居る者全ての顔色を変えさせた。
その報告内容は最悪の事態である。

「シンジ君っ!!!」

「すべての電源をカットして!!早くっ!!!」

ミサトの叫びと同時にリツコの指示が飛ぶ。

「駄目です!(いつものように)信号受け付けません!!」






……………………………………………………………………………………

………ここは………どこだ………僕は………初号機に………乗って……

……誰か居る……誰?……あれは……僕?……なのか……今までの……


初号機に取り込まれ、LCLと同化してしまったシンジは不思議な体験をしていた。
過去の自分を眺めていたのだ。


…………こうやって客観的に見ると、自分が良く分かる。
僕の嫌いな僕、今までそれだけだと思っていた。
でも、こうして見ると僕の好きな僕もいる………。
アスカを助けた時の僕、トウジ達と居る僕、よく見れば他にも。
どうやら僕は、周りを気にしすぎていたみたいだな………。
父さんの事も含めて………。


まるで浮遊霊にでもなったかのように空間を漂いながら、日々を暮らす自分を見ていた。
気が遠くなるような長い時間でありながら、流れ星を見るかのようにアッという間に過ぎていった、本当に不思議な体験だった。


よしっ決めた、僕は僕らしく、周りを気にせず強くなろっと。

こうして、シンジは本編よりあっけなく、更に強くなったのであった。




その頃ケイジでは、排出され、LCLの流れきったプラグの前でミサトが号泣していた。
アスカ、リツコはただ呆然としていた。レイは無表情だ。

(………うそ………だよね………シンジ………)

アスカが心の中でそう呟いたその時、初号機のコアが輝き出した。

そして…………

「ただいまぁ。いやぁ参っちゃった。道が解らなくって大変だったよ」

輝きを終えたコアから、のほほんとシンジが現れた。

「「「シンジ(君)!!!」」」


その数時間後、所変わってネルフ内の人体実験室。もといリツコの部屋。

「んで、検査の結果は?」

ひとまず騒動は終焉を迎えたので、一見何の変化も見られなかったシンジの事をミサトは聞きに来ていた。

「初号機に取り込まれ、再構成されたようね。でも、何とも無いわ。
細胞組織、DNA、その他もろもろ。全て異常無しよ。……ただ……」

「ただ………なんなの?」

微妙な言い回しのリツコに、ミサトは穏やかだった表情に緊張感を纏わせて身を乗り出し、先を促した。

「……反射神経や運動能力が以前とは比べられない程上がってるの。」

「それって、やっぱり再構成の影響なの?」

万が一の事を思い、緊張するミサト。
「間違いなくそうね。でも悪い事じゃないわ。身体的に悪影響も見られないしね」

その答えを聞き、ミサトは溜息を一つつき、コロリと表情を変える。
我が家に居る時のように、ミサトは遠慮容赦無くだらけきった。

「ん、まぁねぇ。なんだかシンジ君も雰囲気変わってたし。
何だか大人っぽくなって、びっくりしたわよ。
少しだけ自分に自信がつきましたよ…、だって。
まったく、これからどうなることやら」

ミサトはニヤリと悪党笑いを浮かべた。


葛城邸


「まぁったく人騒がせな奴なんだから」

「ハハ、ごめんごめん」

帰宅して着替えを終え、冷蔵庫から取り出した麦茶を片手に食ってかかるアスカに、シンジは軽く、それでいて心から謝った。
シンジが心配だったのか、レイも葛城家に乗り込んでいる。

「…………でも、無事でなによりだわ………」(ニヤリ)

((うっ、ゲンドウ笑い))

年頃の少女はあまりしない方が宜しいかと思われる不気味な笑みに、ユニゾンで仰け反るアスカとシンジであった。

「まっ、まあアタシはあんたなんか居なくなったって全然平気だけど」

フンと鼻を鳴らしてそっぽを向いて強がる。

「………嘘ね………」(ニヤリ)

年頃の少女はあまりしない方が宜しいかと思われる不気味な笑みのままレイは断言する。
その言葉にアスカの反応は実に素早く、感情的であった。

「ほっ、本当よ!こぉーんなバカでグズでドジでボケボケーっとしてる奴なんて、居ない方がせーせーするわよ!!」

ドカンと拳でテーブルを叩き、勢い良く捲し立てる。

「………アスカ………」

消え入りそうな声での呟きは、シンジの感情そのものだった。

「ふんっ!!全くしょうこりもなく戻って来ちゃって、迷惑よ」

こうなると止まらないのがアスカである。止めどなく言葉が溢れ出てくる。

「………本当に?………」(ニヤリ)

「本っ当よっ!!!!」

アスカの大声の後に広がる静寂。
しばしの時間の後、シンジが短い時間で考え、そして答えを出した。

「………分かった。アスカがそんなに迷惑なら、明日ミサトさんに話して部屋を探してもらうよ。今日はもう、どうしようも無いけど、我慢してね」

「………えっ?」

予想外のシンジの言葉に驚きを隠せないアスカ。
今までの彼だったら、何も言わずに曖昧に場を誤魔化すだけのはずだった。

「アスカがそんなに嫌がってたなんて気付かなかったよ、ゴメンね」

心底申し訳無さそうに、だがしっかりとアスカに向き合うシンジ。
そこに、レイが爆弾を落とした。それも特大の。

「………碇君、今日は私の家に泊ればいいわ………。そのほうが弐号機パイロットにとっても都合がいいんでしょ?………」(ニヤリ)

「………えっ!?」

もうアスカは何が何だかわからない。ただただ驚くしかなかった。

「うーん、そうだね。でも綾波と2人っきりっていうのもまずいよ」

アスカの事を考えるなら、部屋を出るのは早いに越したことは無いと思っているシンジであった。しかしこのレイの提案は少々問題がある。

「………えっ?」

「………私は全然構わないわ………」(ニヤリ)

平然と言い放つ。不気味な笑みのままなだけに、真意が読めない。

「………えっ?」

「うーん、それじゃあ1日だけお世話になろうかな。これ以上アスカに迷惑かけたくないし……」

朴念仁、鈍感、常に周りからそう言われているシンジである。
レイとあーんな事やこーんな事が出来るなどと考えてはいなかった。
我々のように汚れた大人達と、シンジを一緒にしてはいけない。
そんな発想がシンジには出てこないのだ。敢えて純真と言うべきであろう。

「ちょっ、ちょっと待ちなさいよ!なにあんたらだけで話進めてるのよ!!!
だいたいファーストと2人きりなんて、あんたバカァ?
アタシのご飯は誰が作るのよ、食べられるわよ!」

アスカは興奮のあまりに考えるよりも先に言葉が出ていた。
そのために後半は意味不明になっている。

「………なにを言うのよ………」(ニヤリ)

「アスカ、君が何を言ってるのか………解らないよ………」


しばらく続く静寂、そして………。


「………行かないで………」


少し体を震わせ、俯いたまま小さな声でアスカは呟いた。

「………え?」

顔を上げたアスカの瞳には涙を浮かんでいた。
そして、シンジの胸に向かって飛び込んでくる。

「行かないでっ!!シンジっ!!」

シンジがどこにも行けないように、きつくしがみつく。

「………アスカ………」

「……ごめんなさい……ごめんなさいシンジ……だから……行かないで……」

シンジはその思いを察して、黙って優しく抱きしめる。

「……全部嘘なの……本当は、戻ってきてくれて嬉しかったのに……
あんなこと言って……グスッ……ごめんなさい……シンジ……」

今明かされたアスカの想い。
切羽詰まった状況が、アスカの心の鎧を脱がせたのかもしれない。

「………もういいんだ………だから………泣かないで………」

「………グスッ………シンジぃ………」

優しい眼差しで自分を見つめてくれるシンジにとても安心する。
嬉しい気持ちが溢れ出てくるような感覚をアスカは感じていた。

「………僕はどこにも行かないから………だから、泣かないで………」

そのまま2人だけの世界に入りかけたときだった。
存在を忘れかけられたレイが、絶妙のタイミングで声を発した。

「……………避妊はするのよ……………ウケケケェ………」(ニヤリ)

「「えっ!?!?」」

抱き合ったまま固まる2人を無視して、レイは徐にベランダに向かった。
そして…………。

「………ウケッ! ウケッ!! ウケケケケェー!!」

この世の物とは思えない、豪快な奇声を発して飛んでいった。
飛んでいった。<なんで2回言うねん。

「……ねぇシンジ……なんだったの?……今の……」

「………さ、さあ………」

現実離れした光景に混乱しているようだが、無理はない。

「………ファースト………飛んでいった様に見えたけど………」

「……きっと気のせいだよ。疲れてるんだ。……もう寝よう……」

現実逃避した二人を誰も責める事は出来ない。それほどの出来事だったのだ。

そして……
夜はふけていった……
どこからか聞こえる豪快な奇声と共に……







そして朝を迎え、今日は日曜日。ゆっくりと休養できる日である。

眩い朝日と共に、酔いどれ天使・葛城ミサトが舞い戻ってきた。

「ふぃー、ヒック。なんとか朝食には間にあったみたいねぇ、オェ」

一晩中酒を飲んで朝帰りとは言い身分である。
しかも、加藤茶のような酔っぱらいぶりが妙に様になっているのが恐ろしい。

「ふあぁ、ヒックって、珍しいわねぇ。まぁだシンちゃん起きてないみたいねぇ…」

そう呟くと、ミサトは何か思いついたようだ。

「よっしゃ、今日はこのミサトおねーさんが、やさぁしく起こしてあ・げ・る、わよぉん。
…ぐふっ、ぐふっ、ぐふふぅぅ…………
ひぃやぁっははははははぁぁぁぁぁっっっ!!!!!!

いったい、おまえの言う「優しく」とはなんなんだ、葛城ミサトよ。

「うぅ〜ん。ミサト、イっキまぁっ〜すっ♪」

シャシャシャッ! バンッ!!!

豪快に襖を開き、颯爽とシンジの部屋へと飛び込む。

おっ………………………………………………」

なにやら硬まっているミサト。
今の彼女は、悪〇将軍の硬度10を上回る程の硬度を持っているであろう。

…このネタ解る人いるのだろうか…

さて、彼女が目にし、硬化したそのワケはと言うと……。

「………うぅーん………シンジぃ♪………」

「………アスカ………」

仲良く同じベットの中で寝ている彼氏彼女だったりしちゃったりする。

プルプルプルプル…… < ミサトの体が怒りによって小刻みに震える擬音

ブチィん! < ミサトの堪忍袋の緒が切れる擬音

あんたら何やってんのよっ!? えぇコラァ!!
いつでも殺ってやるぞコラァ!!シャァー、コノヤロァ!!!」

そう絶叫し、A猪木ばりのストンピングを床にかますミサト。

ダンッ!ダンッ!ダンッ!ダンッ! < ストンピングの音

あまりの騒々しさに、さすがに目を醒ますアスカとシンジ。

((うるさいなぁ))

二人して眠そうに目尻を擦りながら起きあがる。
そこで目にした光景に一瞬で目が冴えた。

「って、ミサトさん!!」

「な、なにストンピングしてんのよっ!!」

「シャァッ、コノヤロウ!これはどぉいう事かっ、シャァー!!
説明してみろっ、コノヤロウ!!シャァー、コラァ!!」

ダンッ!ダンッ!ダンッ!ダンッ!

ストンピングをしているうちに、心無しかミサトの顎がしゃくれていく。

そして自分たちの状況を把握するアスカとシンジ。
誤解されても無理はない状況であると認識した。

「ミミミミミミサト、落ち着いて、ね。
ア、アタシ達は、べ、別にミサトが思ってるような事は、な、何も………」

誤解で殺されるなんてまっぴらゴメンであるアスカは、ついどもってしまった。
これでは何かあったと思われる言い回しだ。
それにミサトも興奮しきって聞く耳を持っているのかも疑問である。

「シャァーこの野郎!!嘘つくんじゃねえコラァ!!」

ミサトはファイティングポーズを崩さずに、じりじりとベッドに近づいてくる。
そんな脅威を前に、シンジは自らを奮い立たせた。

「……ミサトさん。本当です。僕達はただ一緒に寝ていただけです。
ミサトさんが思っているような事は、決してありません。」

今までの彼なら、事実がどうあれ、うろたえる事しか出来なかっただろう。

だが、今のシンジは、しっかりとミサトの目を見て、はっきりと答えた。

「シンジ………」

「シンジ君………」

今のシンジの言葉で、顎のしゃくれが消えて葛城ミサトに戻ったミサト。
それに気付かずに、少年はしっかりとした口調で言葉を続けた。

「ミサトさんが信じてくれなくても、これは本当の事です。」

ミサトが俯いて口を開く。

「……ゴメンね、2人共、疑っちゃったりして………」

ようやくミサトが普通に戻った事を確認し、アスカも落ち着きを取り戻した。

「ミサト………もう良いわよ、誤解も解けたみたいだし」

「そうですよ。あまり気にしないで下さいよ。」

2人の言葉を聞き、瞬時に顔が変わる。からかいモードの顔だ。

「そうよねぇー。私も言い過ぎたわ。
愛し合う2人の邪魔は、だぁれにも出来ないもんねぇー。
私はもう2人の事認めたから好きにしていいわよん。
私が居ようが居まいが、気にしないでイチャイチャしてねぇん」

そう言いながら、ミサトは2人の反応を待っていた。

きっと顔を真っ赤にしながら、

「「そんなんじゃない(です)(わ)よ!!」」

と言う言葉が返ってくるだろうな、と。

しかし……………。

「「……………………………………………………………………」」

顔を真っ赤にしてはいるが、否定せずにチラチラと見つめ合っている。

(…………負けた………)< って、何がどうなってそうなるんだ。

呆然とした表情でフラフラとシンジの部屋から出て行くミサト。

そして、悲劇は起きた。

ズガンッ!!!!

どうやら左足の小指をタンスの角に思い切りぶつけたようだ。

「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

左足を押さえながら、ゴロゴロと苦悶の表情でのたうち回る。

どうやら声が出ない程の激痛らしい。

そんなミサトをほっといて、若い恋人達はもう一眠りする事にしたようだ。

お互いを抱きしめあったまま…………。

「………もう少しだけ………このままで居たいんだ………」

「………うん………あたしも………同じだから………」

お互いに優しい表情で見つめ合う。

「………アスカ………」

「………シンジ………」

ほどなくして、二人の唇が重なったのは言うまでもない

聞こえるのは2人の鼓動と、ミサトの声にならない絶叫だけであったとさ。


おしまい



後書きという名のお詫び2002。

いくぞーっ!

ノーーーーッ!

フィアーーーッ!

by 高山善廣


 

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