【構成無茶苦茶妄想意味無し小説】

つよいぞ!シンジ君!!怒涛の学校編





前回の事で遅刻ながらも無事に学校に辿り着いた二人。
冷やかされながらも授業は進み、アッという間に昼休みを迎えたのであった。

「はい、アスカ。お弁当」

「ありがと、シンジ」

そんなやり取りと同時に、ヒカリはトウジに弁当を渡している。
シンジに弁当を貰ったアスカと、トウジに弁当を渡したヒカリは自分達の席に戻っていく。
そして、自分達の弁当を用意して、パンを買いに行ったケンスケを待つシンジとトウジあったのだが、穏やかな時間はここまでであった。

「トトトトトトトウジぃぃぃぃ!!」

死ぬほど情けない声を上げて相田ケンスケが教室に舞い戻ってきたのだ。

「な、なんや。どないしたんや、ケンスケ?」

尋常でない彼の様子に、腐れ縁であるトウジが何事かと問いつめる。

「うっ、うっ、ジャ、ジャイアンが、ジャイアンが僕のパンとカメラを・・・」

「なっ、なんやて!?」

ジャイアン。

ケンスケの口からその言葉が出てきた瞬間に、トウジの表情は青ざめた。

「ねえ、ジャイアンって?」

第三新東京市に来てからだいぶ日は経つが、ネルフの事情により早退は勿論、学校を休む場合も多いシンジである。

まだこの学校の事を全て把握しているわけではないのだ。

「ああ、シンジは知らんかぁ…。ジァイアンっちゅうのは隣のクラスの奴や。
 『滋相庵(じあいあん)タケシ』通称ジャイアンと呼ばれとるんや」

シンジの事を良く知る友人であるトウジは、納得した表情でその人物の事について話し始めた。
だが、その表情が少し嫌そうなのは気のせいだろうか?

「見た目は少しガタイがええだけで、普通の奴に見えるんやがな。ゴッツ嫌な奴や。弱い奴に強く、強い奴に弱い。ワシの一番嫌いなタイプの男や」

さっきの嫌そうな表情は気のせいではなかったようだ。
彼に関する話をするだけで不快になるほどらしい。

「へぇー。で、その滋相庵君が何でケンスケのパンとカメラを?」

ともかく加害者であるケンスケに詳しく聞かなければ何も解らない。

「うっ、うっ、パンはついでだよぉ。ひっく……カメラの中のネガが目当てなんだよぉ」

号泣し、大量の鼻水を垂らしながらケンスケは語りだした。

「「ネガぁ?」」

シンジとトウジの驚きの声が見事にハモった。
二人は嫌な予感がしたのだが、それは見事に的中する。

「あのネガの中には更衣室で撮った惣流達が写ってるから、それで……」

「アックスボンバー!!」

ドガァ!!!

ケンスケの言葉を遮り、アスカのアックスボンバーが彼のくせっ毛丸出しの後頭部に炸裂した。
アックスボンバーは「アックスボンバー」と叫ばなければアックスボンバーでは無いのである。

「相田ぁ!どぉいう事よ、それ!!」

怒りの小宇宙(コスモ)を肉眼で確認できるほど展開しているアスカ。
ケンスケはこの危険な空気を察知し、震えながら言い訳を試みる。

「い、いや。これには海よりも深いワケが……」(あるワケない)

「問答無用!行くわよ、ヒカリ!!」

「オッケーよ!アスカ!!」

嫌がるケンスケを強制連行し、教室の後ろにぽっかりと空いているスペースの真ん中に立たせる。
アスカとヒカリは、ケンスケを挟むように立ち位置についた。
既にケンスケは何らかの力によって逃げ出せずに、そこに立ち尽くす事しか出来なかった。

「マグネットパワー・プラス!」

「マグネットパワー・マイナス!」

高々と右腕を上げて、魂で叫ぶアスカ。
その熱き思いにヒカリも右腕を高々と上げ、魂の叫びで応える。

そして、まるで引きつけ合うかのように、ケンスケに向い猛然と走り出した。

ダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッ

「あんたバカァー!?」

「不潔よぉー!!」


既にケンスケの脳裏には、今までの人生が走馬燈のように駆け巡っていた…。



「「クロスボンバー!」」


ドグシャァ!!

物凄い轟音と共に、衝撃によって発生したであろう煙が消えていく。

二本の斧爆弾に挟まれ、倒れる事も許されずに白目を剥いて気絶するケンスケ。

そして宙を舞った彼のメガネが、天井に張られていたアスカのマントに、吸い寄せられるかのように張り付いた。(嘘)

「………メ、メガネ狩り………。ク、クロスボンバーや………」

「………ぱ、完璧超人?」

近くで目撃した少年二人が、こう呟いたとか呟かなかったとかは定かではない。

「うわぁ〜ん!シンジぃぃ!!」

さっきまでの剣幕はどこへやら。アスカが泣きながらシンジの胸に飛び込んで来た。

「ア、アスカ?」

「ぐすっ、このままじゃアタシの裸見られちゃうよぉぉ。  
シンジ以外に見せたくないのにぃ………ふえぇぇぇぇん」

とりあえずシンジは彼女の背中をポンポンと叩いて落ち着かせようとする。

「すぅぅずぅぅはぁぁらぁぁ!取り返して来なさい!!」

ヒカリ・ザ・イインチョウが目を光らせながら威圧的に迫り寄った。
この時の彼女はヒバゴンのような世にも恐ろしい形相だったと彼は後に語る。

「なんでワシにゆーんや、いいんちょー」

「相田は鈴原の親友でしょ!?あんたにも責任あるわ、シャッコノヤロウ!」

やる気の欠片も見えない彼の返事に、ヒカリのテンションもヒートアップしてきたようだ。
気のせいだろうがヒカリの顎がしゃくれてきたようにも見える。
しかし、あくまでも気のせいである。

「そない無茶苦茶な……。それにワイは滋相庵とは関わり合いとーない」

先程のシンジとの会話でも言っていたように、トウジは滋相庵と言う人物を相当に良く思ってないようだ。
だからトウジの言い分も解る。
だが、それでも引くワケにはいかないヒカリは切り札を出した。

「……お弁当、もう作ってあげないわよ!?」

「はいっ!男・鈴原、喜んで取り返しに行かせて頂きますです!!」

勢い良く立ち上がってヒカリに敬礼するトウジであった。

少し落ち着いてきたアスカを優しく離して、シンジはトウジを見た。

「僕も行くよ」

「……シンジ、わかっとるんか?絶対ケンカになるで?」

シンジがごっつ強くなった事を、学校の皆はまだ知らなかった。

「わかってるよ。でも、アスカの肌を他の人に見せたくないしね(僕も見た事無いけど)」

「ふえぇぇぇん。嬉しいよぉ。嬉しいよぉ、シンジぃぃ」

落ち着いてきたアスカだったが、再びシンジに抱きついて泣き出した。
シンジは優しく抱きとめてアスカの頭を優しく撫でてあげた。

それを見たヒカリは人差し指をくわえて『…羨ましい…私も鈴原とあんな風に…そして、あーんな事やこーんな事をエヘ、エヘ、グヘヘヘヘヘェ、ジュルルルル』と涎を垂らしながら、今までの彼女が作り上げてきたイメージを覆しかねないような妄想を爆発させたとかさせなかったとか。

「よっしゃあ、よく言った!ほな行くで、シンジ!」

「うん」

「奴等、昼休みは体育館の裏でたむろってる筈や」

二人は体育館に向い走り出す。

そして、全ての発端であり、原因であり、悪の権化である彼は………………

………鼻水と涎を垂らしながら倒れていた。

既に忘れられている哀しき戦士、相田ケンスケ。
彼が天に召されるまで後わずか、さらばケンスケ、思い出を有り難う。




そして、体育館裏




「なんだ、A組の鈴原に碇じゃねえか」

短髪で少し太ってる男が、息を切らせて現れたシンジとトウジを睨み付けた。
おそらくこの男が滋相庵だろう。シンジはそう直感した。

そして辺りをチラリと見渡すシンジ。

(……3……4……全部で5人か……)

「一体何の用だ?」

滋相庵は人を見下すような笑みを浮かべている。
トウジがこの男を嫌っているのが解るような気がした。

「とぼけるんやないでぇ、滋相庵。ケンスケから奪ったカメラとネガ、返して貰おか」

拳を握り、指を鳴らすトウジ。話し合いが無駄だと知ってるだけに既に戦闘態勢だ。
滋相庵はニヤニヤと笑いながら、懐に手を入れて何かを取り出した。

「ああ、惣流のストリップが写ってるっていうやつか?
クックック、これは放課後のお楽しみなんだよ……」

そう言いながらネガを見せる。

「やっぱワレみたいなガキ大将には、言っても無駄みたいやな」

滋相庵の態度にカチンと来たトウジは、怒りを隠さずに近づいていく。

「やれ」

滋相庵の声で、二人の子分がトウジの背後から襲いかかった。

この時シンジが「志村ぁ〜!後ろぉ〜!」と、心の中で叫んだのをトウジは知る由も無い。

カッとなり滋相庵しか目に入ってなかったトウジは、反応出来ずに呆気なく押さえつけられてしまった。

「くっ!離さんかいボケェ、しばくぞコラァ!」

激しく暴れるが、さすがに二人に押さえられるとどうにもならなかった。

「鈴原、お前は大人しく見てろよ。惣流は碇の女だろ?」

腕を組みながら余裕の表情でトウジを見下すガキ大将。

「くっ!お前ら卑怯やぞ!!」

なおも噛みつくトウジを無視し、シンジに話しかけた。

「碇、どうする?土下座でもすれば、返してやってもいいんだぜ?」

滋相庵はニヤニヤと笑いながら言い放つ。明らかにこの状況を楽しんでいる。
勿論、シンジが土下座をしても返す気は無い。
クズとしか言いようの無い、性根の腐った男だった。

「大人しくネガを返してくれないかな?出来ればケンカはしたくないんだ」

予想に反し、やたらと落ち着いて言うシンジに、滋相庵は顔を邪悪に歪ませた。
このような男は、強者に屈し、怯えていなければいけない。
それが滋相庵タケシと言う腐った男の持論だった。

「何偉そうに言ってんだよ。てめぇはネルフが無けりゃ只のグズなんだよ」

「……今迄の僕ならね。でも、今は違うよ」

ここに居る誰もがまだ知らなかった。

今のシンジはアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ並に『ごっつ強い』という事に。

「何だと?……もういい、やっちまえ」

滋相庵の声に残りの二人が応える。
この気の弱そうな男を殴り、蹴り、屈服させる為に飛びかかっていった。

だが、それは無駄な行動に終わった。
シンジは自分の身体に指一本触れさせずに、一人一撃で気絶させたのだ。

滋相庵は予想もしなかった出来事に我が目を疑った。

「シ、シンジ……」

トウジでさえも、争い事を嫌っていたはずの友人の圧倒的な強さを見て一瞬呆然とする。

しかし、自分を押さえつけていた手が緩んだのに気付き、すかさず振りほどく。

そして水を得た魚のように己を躍動させた。

「ネプチューンマンは喧嘩マン!!!!」(意味不明)
グシャッ!

よく解らない事を叫び、怯んだ一人に頭突きを食らわす。

「ビッグ・ザ・ブドーは  ネプチューン・キング!!!!」(意味不明)
ズゴォ!!

再びよく解らない事を叫び、残った一人にブッチャー張りの地獄突きを食らわせた。

「さぁて、あとは滋相庵、お前だけやな」

「もういいでしょ?返してくれないかな?」

二人で滋相庵を壁際にジワジワと追い詰める。

「くそったれ!!」

滋相庵は最後の悪あがきに襲いかかってきた。
だが、シンジとトウジに為す術もなくボコボコにされるだけであった。

特に、アスカが絡んでいる為にシンジは容赦無かった(マジで)

「さぁて、ぼちぼち戻ろか」

パンパンと自慢のジャージに付いた砂を払うトウジ。

「そうだね、ネガも取り戻したし」

手の中のネガに安堵の表情を浮かべるシンジ。

「そーいや、まだメシ食っとらんかった!はよ行くで、シイジ!!」

「あっ!待ってよ、トウジ!!」




二人が戻っていき、後に残るのは倒された滋相庵一味だけであった。

「くそっ!あいつら覚えてろよ。いつかぶっ殺してやる」

そう吐き捨てたのは、一人だけ意識を取り戻した滋相庵だった。



「………貴方、碇君の敵?………」

突然視界の外から声が聞こえ、振り向く滋相庵。

何時の間に現れたのか?

気配を感じさせずにそこに居たのは綾波レイその人であった。

「てめえはA組の綾波じゃねえか。ビビらすんじゃねえ」

まだ体が動かないので頭だけ動かしてレイを威圧する。

「………貴方、碇君の敵?………」(ニヤリ)

「……うっ……。だ、だったらどうすんだよ?」



「………ブチ殺すわ………」(ニヤリ)

レイの人外な雰囲気の上、躊躇無く殺人宣言されてビビりまくる滋相庵。

「こ、殺すって、おい。冗談は……」



「………ぶちころす………」(ニヤリ)



ずんずん近づいて来るレイ。何故か半笑いである。

「ちょ、ちょっと待て………」



「………コロス………」(ニヤリ)


「お………ねがい………だか………ら………」



「………ウケッ………」(ニヤリ)


滋相庵は恐怖でこれ以上無い程に顔面を硬直させている。
だが、レイの歩みを止める事はない。



「………ウケッ、ウケッ、ウケケケケケケェェェ………」(ニヤリ)


「あ……ああ……く、来るな……来ないで……うわぁぁぁぁ!!!」



「ウケッ!ウケケ!!ムキャッ!ムキャキャッ!!ムッキャッー!!




気を失った滋相庵が発見されたのは、それから一時間後の事だった。
彼は重度の精神汚染を受け、二ヶ月間生死の狭間を彷徨ったと言う。

意識を取り戻した滋相庵は、何も覚えていなかった。


あの時、綾波レイが何をしたのか?


それは誰も知らない。



そう、作者でさえも………(考えてないだけ)




教室




「シンジぃ!大丈夫だった?」

「あ、アスカ。うん、平気だよ」

シンジを見つけるや否や、心配そうな表情でアスカが駆け寄ってきた。
そんな彼女にいつもの笑顔を向け答えるシンジ。

よく見ると、ケンスケが教室の壁に取り付けられてある掲示板に磔られている。

おそらく椅子の一部であろうU字型に曲げられた鉄パイプで、彼の手首と足首を壁に固定している。どうやって壁に鉄パイプを打ち込んだのかは謎である。

(アスカがやったんだな……)

そう思ったが口には出さない優しい(?)シンジであった。

ケンスケは“とほほほほ〜”な顔をしていた。
そう、それはまるで物語に出てくる聖者のようであった。(大嘘)

「はい、これ」

シンジは取り戻したネガをアスカに手渡した。

「シンジ、ありがと。これ………お礼だから………」

そう言うとアスカは彼の頬に触れる程度のキスをする。

そんなことをしておきながら、シンジもアスカも顔を赤くして俯いている。

それを見たヒカリは、またもや人差し指をくわえて『…羨ましい…私も鈴原とあんな風に…そして、あーんな事やこーんな事をして、ズッコンバッコンズッコンバッコン…エヘ、エヘ、グヘヘヘヘヘェ、ジュルルルル』と涎を垂らしながら、今までの彼女が作り上げてきたイメージを覆しかねないような妄想を爆発させたとかさせなかったとか。

バカ騒ぎを取り戻したクラスメイト達を余所に、二人はいちゃついていた。

「アスカ、これから着替える時は注意してね」

「うん、シンジ以外には絶対見せないから………」

完全に二人の世界に行ってしまったシンジとアスカであったとさ。


おしまい



後書きという名のお詫び2002。

私は喧嘩などしない。

お前を殺すだけだ。

by カール・ゴッチ


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